Vol. 2 「遥かな時代の階段を

 さて、今回紹介する作品は、永瀬正敏の「濱マイク シーリズ」第二弾「遥かな時代の階段を」である。とにかく、いまどき探偵モノである。それだけでも珍しいのに、しかも三部作のシリーズ作品とくれば、もう、それだけで観る価値があるというものである。(本当か?)

 まず、何と言っても主演の永瀬がカッコいい!やはり彼にはブラウン管よりスクリーンの方が似合う。私が彼の存在を初めて知ったのは「ミステリー・トレイン」だったが、その頃から、TVドラマとかに出ているいわゆるアイドル系二枚目俳優とは違った雰囲気を持っているところが結構気に入っていた。最近ではCMに出たり、賞を取ったりしてすっかりメジャーになってしまったが、昔からチェックしていた者としてはチョット鼻が高い。(別に私が有名にしたわけじゃないが…)また、話の展開も早くテンポも良いので、観ている方は最初から作品にのめり込むことができる。特に冒頭で、メインテーマ(この曲がまたカッコいい!)をバックに、マイクが愛車メトロポリタンに飛び乗り颯爽と飛び出していくシーンなどは、ある種のカタルシス(個人的には娯楽作品に一番必要なモノだと思っている)まで感じてしまう。

 しかし、実はこれら以上にこの映画を魅力的にしているのが、舞台となっている横浜の「黄金町」である。この作品を上映している「横浜日劇」という映画館も含め、ほとんどのシーンがこの街の中で撮影されている。その為、この映画館で見終わって外に出ても映画に出てきたそのままの街並や川があるわけで、まるでオープンセットの中に迷い込んだような奇妙な感覚が体験できるのである。また、この映画の中で描かれている黄金町という街が、はっきり言ってとてもアヤしいのである。(現実の黄金町もそうなのだが)現代の日本にありながらここだけ時の流れ方が違うような、(台湾や東南アジア辺りの)どこか別の国にいるような雰囲気があって、このことが、この映画の「無国籍っぽさ」をさらに演出している。時々背景に入ってくる「ランドマークタワー」や「インターコンチネンタルホテル」などが逆に浮いてしまうぐらいで、ここが本当におしゃれな街「横浜」なのか?という気にさせられる。

 残念ながら公開は既に終了しているが、一作目は既にビデオで発売されているので、いずれこちらも発売されると思う。三作目が今から楽しみである。

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