Vol. 1 「ガメラ -大怪獣空中決戦-

 唐突だが、今月から映画の紹介記事を書くことになってしまった。とは言っても、私はいわゆる「マニア」という程映画を見る訳ではないので、実際に公開中の作品以外にLDやビデオで観たものなどについても、思ったことを書いてみたいと思う。また、たぶん紹介される作品は、筆者の趣味をモロに反映したものになると思うので、その点はあらかじめご了承願いたい。

 そんな訳で記念すべき第1回目は、いきなり「ガメラ -大怪獣空中決戦-」である。が、この作品を単なる怪獣映画と言って侮ってはいけない。これはいわゆる「子供向けの怪獣映画」ではなく「大人も楽しめる娯楽映画」なのである。では、どの辺が「大人も―」なのか?まず冒頭、いきなり緊張感をあおる音楽と共にいかにも何か起こりそうな2隻の船が映る。そして、そこに重なる手書き(風)のクレジットタイトルと、もうこれを観ただけでも作り手がどんな作品を作りたいのか分かる、と言うものである。とにかく、脚本、演出、特撮、音楽、と全てにおいて、自分達の納得するものを作ろう、という意気込みが感じられ、しかもそれが空回りせずに作品に見事に反映されている。

 脚本について言えば、全体としてはシンプルに、しかし細部は非常に綿密に練られている。特にこの手の映画にありがちな、観ていて気になる「ウソの」設定についても一つ一つフォローするセリフがあるので、こちらも安心して作品世界にのめり込むことができる。また、人間側のドラマ部分についても、単なる物語の進行と状況説明の為の添え物に終わらせずにちゃんと扱っており、例えば日本TVの本物のアナウンサーにガメラ出現の臨時ニュースを読ませるなど、日常生活における怪獣の存在をある種の災害のように見せることによって、非常に現実感のあるものにしている。もちろん、怪獣映画の命である特撮もがんばっている(ギャオスが人を襲うシーンはホントに怖い!)のだが、この辺はむしろ実際に観てもらった方が良いと思う。

 主人公のスティーブン・セガールの娘の演技がちょっと…、といったことなどアラを探せば確かにいくつかあるものの、とにかく、久しぶりに観ていてワクワクできる映画だった。残念ながら公開は終わってしまったが、機会があれば(この手の映画を生理的に受けつけない人以外は)一度は観ておいて損のない作品だと思う。 個人的にはこのレベルを保った上で是非シリーズ化して欲しいと思うのだが、それは、「可能性の問題です。でも備えは必要です。」ということだろうか?

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