Vol. 16 「ガメラ2 -レギオン襲来-

 ふた月連続で続編モノになってしまうが、とりあえず、今回は予告通り「ガメラ2 -レギオン襲来-」の紹介である。もちろんこれは、昨年公開されその後数々の賞も取ったりした「ガメラ -大怪獣空中決戦-」の続編であるが、今回もはっきりいって面白い。ただ、前作と比べてどっちが良いか?と聞かれると、簡単には答えられないというのが本音である。というのも、前回と今回では作品の目指している方向が、若干違うと思われるからである。

 スタッフの目指したものとして、前作はどちらかというと「とにかく自分達が観ても面白い怪獣映画を作ろう」という感じだったのに対して、(もちろん、その点は今回も継承されているが)今回は「現代の日本に怪獣が現れたらどうなるか」というシミュレーションとしての部分が前作以上に強調されている。そういう意味では、「ガメラ2」は単なる怪獣映画というよりも、スタッフ自身も語っているようにむしろ怪獣対自衛隊の一種の戦争映画といえるかもしれない。事実、この作品に出てくる自衛隊は、今まで私が観た怪獣映画(といってもそれ程多く観ているわけではないが)の中でももっとも逞しく、頼りになる存在として描かれているし、戦闘シーン等でも自衛隊の全面協力により非常にリアルで迫力のある画面になっている。(もっとも、こういう内容だから自衛隊側も喜んで協力したのかも…)ただ、いささか話が自衛隊中心に進み過ぎる感じがあり、前作にあった民間人の視点から見た「怪獣が突然現れた世界」といったものが希薄になっているように思う。また、自衛隊が目立っている分、前作に比べてガメラ自身の印象もやや薄いような感じを受けるのがちょっと気になった。

 しかし、だからといって怪獣映画としてはつまらないのかといえば、決してそんなことはなく、むしろ傑作の部類に入ると思う。まず、何といっても今回の敵である「レギオン」がとにかく強い。いまさら例をあげるまでもなく、この手の対決モノというのは相手が強ければ強いほど面白くなるのであるが、そういった意味でも充分過ぎる程強いのである。まず、第一にガタイがデカイ。ただでさえ、宇宙生物ということでワケが分からないカッコをしている上に、全長160メートルとガメラの倍近くあるのである。しかもガメラのプラズマ火球も全く効かず、おまけに本体とは別に小型の群体レギオンなんてものまで従えていたりする。(私自身、作品を観ながら一瞬「こんなヤツにホントに勝てるのか?」と思ってしまったくらいである)もちろん、そのレギオンやガメラをそれらしく見せる為の特撮技術も前作をはるかにしのぐ出来である。特に最初の舞台となる札幌のススキノの街並などは、建物から看板に至るまで一つ一つ忠実に再現されていて必見である。前作ではやや難のあった合成シーンも今回は全く気にならないし、演出的にも前作に比べて幅が出てきた感じで、ガメラのアップ一つとっても非常に見せ方が上手くなっていると思う。

 噂では「ガメラ3」の話もあるというし、もし公開期間に間に合うならば、是非とも劇場で観て欲しい作品である。

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