Vol. 9 「燃えよドラゴン」

 今年も残すところあとわずかとなり、正月映画もほぼ一通り公開されたようですが、個人的にどうも今年はイマイチ、ピンと来る作品が無く、あまり食指が動きません。(「北○原○」は別の意味で注目していますが…(笑))ところで、もう既に終わってしまいましたが、少し前に東京でブルース・リーの「ドラゴン・シリーズ」のリバイバルが行われていました。また、ほぼ同時期にWOWOWでも特集が組まれたりして、今年の秋はちょっとした「ドラゴン・ブーム」だったようです。ただ、私自身は余り「ドラゴン・シリーズ」には興味がなく、今まで1作も観たことはありませんでした。しかし、昨今の格闘技ブームや格闘ゲーム人気などもあって、その原点とも言われるブルース・リーにも何となく興味が出てきました。そこで今回は、シリーズの中でももっとも有名な「燃えよドラゴン」です。

 リバイバルは既に終わっていたので、ビデオを借りてきて今回初めて観たのですが、予想以上に面白かったです。話の展開はほとんど少年ジャンプのノリで、単純明快。小難しいことは考えず、そんなこと考えている暇があったらアクションを観ろ!って感じです。今さら説明も不要だとは思いますが、一応ストーリーを紹介すると、秘密情報局からの要請を受けた武闘家リーが、麻薬王ハンの主催する格闘技大会に参加して、ハンとその用心棒でリーの妹の仇でもあるオハラをやっつける、という話です。

 とにかく、リーのアクション、これはもう本当に凄いです。特にいわゆる格闘ゲームで見られるような技をそのまま実写で再現(本当は逆なんですが)してしまう程のシャープな動きとスピードには圧倒されました。そして、多少オーバー気味に付けられた「打撃がヒットした時の効果音」と私のようなブルース・リーにそれほど興味が無い人間でもこれだけは知っているという、あまりに有名なテーマ音楽が画面をさらに盛り上げます。また、アクションシーンもさることながら、個人的には、前半の大会出場選手のキャラクタを紹介するあたりで挿入される当時の香港の(?)風景等が、オリエンタルな雰囲気満開という感じで何となく気に入ってしまいました。この辺の決してアクションだけにならないようにメリハリをつけているあたりも好感が持てます。

 ところで、これは私も全く知らなかったんですが、雑誌などの記事によるとこの「燃えよドラゴン」には、まだメジャーになる前のジャッキー・チェンやユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーなどもチョイ役で出ているそうです。もっとも、彼らも出ていた、というよりは、この映画に出ていたことで有名になっていった、という方が正しいのかもしれませんが、いずれにしても、この作品がそういった意味でもエポックメイキングな作品であることは間違いありません。もちろん、ブルース・リー本人もこの作品によって一躍大スターになり、作品自体もその後世界中にカンフー(クンフー)映画ブームや香港アクション映画ブームを巻き起こす程の大ヒットを飛ばすことになります。しかし、ご存知のように、この作品が日本で公開された時には既にリー自身は亡くなっていたわけで、彼が、もし今も健在だったらどんな映画を撮っていただろうと考えると、やはり非常に残念です。

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