Vol. 40 「M:I-2」

 今月は、遅まきながら「M:I-2」を観てきました。最初は、前作の「ミッション・インポッシブル」も観ていないし…、ということで、特に興味も無かったんですが、先日、たまたま時間が出来たのと、既に観た友人が「前作を観てなくてもそれなりに楽しめる」と言っていたこともあって、半ば衝動的に観に行ってしまいました。

 公開からだいぶ時間も経っており、既に多くの人が観ていると思うので特に必要無いかもしれませんが、一応、ストーリーを説明すると…。ロシアの医学博士、ネロルヴィッチは、「キメラ」という殺人ウィルスとその解毒剤「ベレロフォーン」を開発しますが、それを安全な場所へ運び出そうする途中、何者かによって殺され、そのウィルスと解毒剤を奪われてしまいます。そこで、指令を受けたIMFのエージェントであるイーサン・ハントは、新たに女泥棒のホールをメンバーに加えて、ウィルスを奪った連中の正体の究明と、その奪還を図ります。しかし、犯人の一人であるアンブローズも実は元IMFのエージェントで、イーサン側の作戦も全て読み切るほどのキレ者です。しかも、彼はホールのかつての恋人でもあり…、といった内容です。ストーリーそのものはとても分かりやすいですし、ハイテクメカを駆使した頭脳戦や派手な銃撃戦、さらに香港出身の監督らしい、格闘技の要素を加えた肉弾戦など、一度にいろいろな要素が楽しめる作品になっています。ただ、思ったよりも展開があっさりしていて、もう一ひねりあるかな?と思って観ていた私には、ちょっと意外でした。もっとも、その分、各見せ場の時間が結構長めで、一つ一つをじっくり見せてくれます。この手の映画の中には、ストーリーにいろいろ詰め込み過ぎて、それを消化(説明)するので精一杯な作品も多いことを考えると、こういうスタイルも決して悪くないかもしれません。

 さて、この作品の監督であるジョン・ウーは、かつて香港時代に「男たちの挽歌」シリーズで一躍メジャーになり、その後ハリウッドに渡ってからも「ブロ−クンアロー」や「フェイス/オフ」といったヒット作を次々と生み出している、今最も注目されている監督の一人です。ただ、私自身は、まだ彼の長編作品を観たことがありませんでした。そこで、今回初めてジョン・ウー作品を観たわけですが、観終わったあとの感想としては、「なんかえらくオーバーな、だけど分かりやすい演出だなぁ」という感じでした。例えば、スピーディーなアクションシーンにアクセントを付けるスローモーションやクライマックスの対決シーンに度々挿入される豪快な波のカット、そして極めつけは燃えさかる炎のバックとそこを飛び交うハト(この2つは、ジョン・ウー作品のウリの一つだそうです(笑))等々…。中には、ちょっとやり過ぎかも?と思われるような所もありますが、たっぷり時間を取った見せ場も含めて、「これが見せたいんだ!」というのがとても良く伝わってくる演出です。

 まあ、この手の作品にありがちな思わずツッコミたくなるような部分も無いわけではないですが、基本的に娯楽作品ですから、結果的に楽しめれば良いとも言えるわけで、そういう点では私自身は満足できる作品でした。

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