Vol. 35 「ウルトラマンティガ -THE FINAL ODYSSEY-」

 今回の作品は、ハッキリ言って取り上げるのをちょっとためらってしまいました。しかし、これを読んでいる人の中には小さなお子さんをお持ちの方もいらっしゃるだろうということと、作品自体も必ずしも子供向けというわけではなく、大人でもそれなりに楽しめる内容なので、まあ、たまにはこういうのも良いかな?ということで紹介する事にしました。そんなわけで、今回は「ウルトラマンティガ-THE FINAL ODYSSEY-」です。ご存知無い方の為に、一応説明しておくと、「ウルトラマンティガ」はいわゆる「平成ウルトラマンシリーズ」の1作目で、1996年にTVシリーズとしてスタートしました。それまでも単発のスペシャル等は制作されてきたものの、本格的なTVシリーズとしてのウルトラマンは実に16年振りであり、放送開始前にはファンの間からも少なからず不安の声が聞かれたりしましたが、実際に始まってみると、子供達はもちろん、かつてのシリーズを観て育った大人達にも大好評で、結局、「ティガ」のあとも「ダイナ」、「ガイア」と計3本のシリーズが制作されることになりました。

 「平成ウルトラマン」の特徴は、まず、ウルトラマンの設定自体が従来のシリーズとは全く異なっていて、それまでの「M78星雲からやって来た兄弟達」とは無関係の存在ということです。(ちなみに、「ティガ」と「ダイナ」はその世界が時系列的に繋がっていますが、「ガイア」はその二人とも独立した世界の話になっています)また、ウルトラマンそのものの特徴としては、ウルトラマン自身が3タイプに変化したり、2人のウルトラマン(ニセモノとかではなく)が登場したりする事が挙げられます。特撮映像に関していえば、円谷プロ伝統の着ぐるみやミニチュアセットを用いた撮影に加えて、CG合成を多用している点も従来のシリーズには無かった点と言えるでしょう。

 そこで、今回の劇場版ですが、これは平成シリーズの劇場用作品としては3作目になります。内容は、「ティガ」と「ダイナ」の間の7年間に起こった出来事という設定で、超古代遺跡ルルイエから復活した闇の巨人達を軸に、特捜チームであるGUTSの隊員達のその後やウルトラマンティガの誕生の秘密などが描かれています。この手の映画としては脚本がかなりしっかり作られているので、ドラマ部分だけでもそれなりに楽しめるのですが、やはり観どころといえば特撮シーンということになります。ところで、個人的に平成シリーズになって進歩したと思うものに、スーツアクター(要するに中に入っている人)の動きがあります。従来のシリーズでは、ウルトラマン対怪獣の格闘シーンは割と単純なキックやパンチ等しかありませんでしたが、最近はスーツが進歩したこともあって、かなりスピーディーで複雑な動きも出来るようになり、時には格闘技系の技も使ったりするなど、そこだけとっても十分楽しめるようになりました。特に、今回は敵がヒト型ということもあって、相手の動きにもムリが無く、その分より迫力のある格闘シーンになっています。 一応、TVシリーズの完結編という位置づけですし、また、その後の「ダイナ」の世界への橋渡しとなる作品でもあるので、その両方のTVシリーズを観ていないと分かり辛かったりする部分もありますが、逆にそれらのシリーズを観ている人にとっては、ちょっと嬉しい演出等もあって、文字通り親子で楽しめる作品だと思います。

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