Vol. 29 「エピソード1」

 既に公開から三ヶ月近く経ってしまいましたが、今回は「スター・ウォーズ エピソード1 -ファントム・メナス-」です。なお、今回は公開されてかなり時間が経っているので、ある程度内容にも触れます。まだまだ、これから行こうと思っているんだ、という方はここから先は読み飛ばして下さい。

 私が一番最初に観た時の感想は、一言でいうと、予想以上に面白かった、でした。と言うのも、実際に観るまでは、私自身(騒いでいた割には)実はそれほど期待していなかったからです。前のシリーズはもちろん好きですし、作品としても面白いのですが、正直に言うと「I'm your father !」とか「She is your sister !」って辺りでちょっとテンションが下がってしまったところもあって、そういう意味では、多少冷めた目で見ていたところもありました。しかし、昔の記憶は甦るもので、20世紀FOX社のファンファーレが鳴り、メインタイトルと共にOPテーマが流れると「やっぱり、スター・ウォーズだなぁ」という感じで、ちょっと感慨深くなってしまいました。映画が始まった時には既にもう事件が起きていて、と、同時にいきなり戦闘が始まるのも相変わらずで、気が付くと始まって5分もしないうちに、もうすっかり「スター・ウォーズ」の世界に引き込まれていました。ストーリー展開も早く、特に冒頭から前半ぐらいまでは気持ち良いくらい話が進んでいきます。見せ場も次々あるので、133分という長さにもかかわらず飽きることがありません。見どころはそれこそ沢山あるわけですが、個人的には、やはりラストのクワイ=ガン・ジン、オビ=ワン・ケノ−ビとダース・モールとの対決シーンが気に入ってます。特に殺陣に関しては、以前に比べると遥かにスピード感があるし、型も決まっていて、今までのシリーズ中で一番カッコ良いです。他にも、画面の端々に見覚えのあるメカやエイリアンがさりげなく顔を出していたり、前のシリーズへの伏線(?)があったりするなど、昔からのファンへのサービスも随所にあります。(余談ですが、元老院議会のシーンにはチューバッカの種族やE.T.なんかもいるそうです)

 ただし、前のシリーズを知っていることが逆にマイナスに働くこともあります。例えば、アナキンがいくら健気に頑張っていても、その後の彼の運命が分かっているだけに、どうも感情移入し切れない部分があるのです。ラストシーンにしても、その為にエピソード4の時のような爽快感が得られず、心から喜べないと言うか、妙に複雑な気持ちになってしまいました。実際、大幅な路線変更をしない限り、話の展開は今後どんどんネガティブな方(帝国支配の強大化、アナキンの成長)へ進んでいくはずな訳で、ファンとしては、違う意味で気がかりです。この点は、はっきり言って「スター・ウォーズ」シリーズの最大のウィークポイントかもしれません。逆にいえばルーカスがそこをどう乗り越え、さらに魅力ある作品にしていくのかというのも楽しみの一つと言えるかもしれません。

 それにしても、1作目の時は、劇場での1日あたりの上映回数を増やす為ということもあって、わざわざ2時間以内に納める為にエピソードを一つ切ったりしたのに、それが今や2時間を軽く越えるような長編でもOKというのは、やはり、この20年間で、「スター・ウォーズ」の存在自体がそれだけ大きくなったということなんでしょうね。

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