Vol. 53 「WXIII 機動警察パトレイバー」

 今月は、久々にアニメ作品、「WXIII<ウェイステッドサーティーン> 機動警察パトレイバー」です。が、作品を紹介する前に、実はこの映画を観に行った時にこんな事がありました。

 大ヒットしたパトレイバーシリーズの9年振りの劇場用新作の割には、上映している劇場が関東近辺でも数えるほどしかなく、イマイチ興行的にヤル気が感じられない(?)今回の「WXIII」ですが、それでも、少しでも良い条件で観ようと思い、新宿まで足を伸ばして観に行きました。あいにく、その日は雨で、ホントならこんな天気の日に新宿まで出かけていくのはかなり気が重かったのですが、自分と上映劇場のスケジュールがなかなか合わず、その日しか観に行ける日が無かったのです。ところが、劇場に着いてみると、チケット売り場に「本日のパトレイバーの整理券は全て終了しました」との張り紙が…。「は? なに?整理券って?」と思いながら張り紙を詳しく読んでみると、どうやら、その整理券とやらが無いと立ち見はおろか入場すらさせて貰えないらしいということが分かりました。「そんな話聞いてないぞ!」と思いつつ、近くの係員に、(私)「すみません、この整理券って言うのは、当日に配布されるんですか?」(係員)「そうです。朝から配布してます」(私)「(そんな、じゃあ、朝から並べっていうのかよ!と苦笑しつつ)それって、地方の人間とかには結構キビシイですよね?」(係員)「でも、皆さん同じ条件ですから」(私)「はあ」。もうこれ以上は話してもムダだと思った私は、しかし、他に用事も無かったので、結局、そのまままた家に帰ってきました。いや、もちろん、その辺の事をよく調べなかった私も悪いのですが、それにしても、一般公開の映画で入場するのに整理券が必要っていうのは、初めて聞きました。まあ、最終的には、その5日後の夜に、横浜の小さな劇場でなんとか無事観ることが出来たのですが、取りあえず、新宿東映会館には、貴重な日曜の午後と往復の交通費の2040円、今すぐのし付けて返して欲しいです。(笑)

 さて、その「WXIII」ですが、話は昭和75年(!)に東京湾岸で4件の連続レイバー(作業用大型ロボット)襲撃事件が起こるところから始まります。城南署の刑事、久住と秦が捜査にあたるものの一向に手がかりは掴めず、行き詰まりかけていたところにさらに5件目の事件が発生。しかも、襲われた水中レイバーのカメラには巨大な魚のヒレのようなモノが写っていたところから、犯人は巨大生物である可能性が浮上してきます。一方、それと前後して、秦はひょんな事から岬という女性と知り合い、次第につきあい始めるのですが…。と、ここまでで、コミック版パトレイバーを読んだことがある人ならば分かるかもしれませんが、この「WXIII」は、コミック版の「廃棄物13号」というエピソードが元になっています。ただし、映画のタイトルでは「機動警察パトレイバー」が「WXIII」の後ろに来ていることからも分かるように、今回の作品では、主人公はあくまで久住と秦であり、本来の主人公である特車2課の連中は完全に脇役になっています。

 見どころとしては、前作のそれよりもさらに緻密になった作画、そして、非常に細かい人物描写や演出などで、アニメーションとしてはもちろん、映画としても十分見応えのある作品になっています。ただ、前述のようにパトレイバーそのものは今回はメインではないので、ロボットアニメとしての痛快さや見終わった後の爽快感といったものは残念ながらほとんどありません。そのため、その辺を期待して観に行くと「期待はずれ」と言うことになると思います。

 ところで、今回の作品では前2作の監督であった押井守は、一切参加していません。ただし、代わりに同時上映作品として公開されている「ミニパト」というパトレイバーのセルフパロディのような短編で脚本を書いています。こちらは、「WXIII」とは正反対の100%ギャグアニメで、特にシリーズのファンはかなり楽しめる内容になっているので、こちらもぜひ観てみて下さい。

 

 

 

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