「ふしぎなレジ係り」

硬貨を相手の手のひらに乗せて渡すと「お預かりします」言いながら台の上に硬貨をぶちまける人がいる。粗末に扱って失礼じゃないかバチ当たるぞ、と思うのだが、相手はそんなことはぜんぜん気にかけない。それとは別におかしいと思うことがある。

そうゆう人達にかぎって、硬貨を一枚二枚三枚、と人差し指で数えるのだ。硬貨が重なっていたらまずいから、というのではない。絵に描かれたミカン、リンゴ、バナナがあって合計で何個ありますかという小学生のドリルで、指でいちにいさんしごーろく、と絵をなぞって数えるのと同じレベルかと思う。映画レインマンに、床にぶちまけたマッチの数を一瞬で何百何十何本とダスティンホフマン(役名失念)が言い当てるところがある。目で数えるのだ。そこまでの能力は必要ないけども、五枚くらいは目で勘定してもらいたい。

また、千円渡せば足りるところを、一円の端数をあらかじめ千円札と一緒に渡すことがある。お釣りが計算しやすいだろうという配慮というか気遣いであって、一円玉が増えず財布の中がすっきりするというメリットのためでもある。端数が四円以下の買い物のときは持っている五円を渡せばよいものの、この場合相手の顔色を窺ってからにする(買い物慣れしている主婦のレジ係りはだいじょうぶ)。なぜかというと、意図をわかってくれないレジ係りがいるからだ。千円札と端数の五円玉を渡すと、それをしばらく眺め、レジ台の上の五円玉を人差し指一本で、私のほうに無言で押し返してきたのだ。そしてレジに千円を入力してお釣りを計算し自信満々一円玉混じりのお釣りを返してきた。私は感動を覚えるのだった。


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