プライマリケア・家庭医療の
診療所実習・研修の手引き
 
 
プライマリケア・家庭医療の
見学実習・研修を 受け入れる
診療所医師のネットワーク
(略称PCFMネット)編

 
 

 

 


 

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1 診察の基本

1-1 診察を見る 担当:医師 


1-1-1 診察の流れを見る
(予診)−入室−インタビュー−診察−説明という
一連の流れを、まずは見てみましょう。
限られた時間の中で、患者さんがどのような人か
社会背景・家族背景を把握して、
満足を与えながら見落としなく診察を進める様子をご覧ください。


1-1-2 メディカルインタビュー
問診とインタビュー、病院と診療所、どこが違うのかな?
今まで何度も来院しているおなじみの患者さんは
医師とどう話しているのだろう?
初めての患者さんからは、病気の情報や患者さんの思いを
どのように引き出しているだろう?
患者さんが医師に何を期待しているかを
くみとる技術にも気づきたい。

1-1-3 診察の工夫
診察を効果的にするためにどのような工夫をしているだろう。
患者さんとの会話で患者さんの家族や生活が垣間見える。
そんな会話ができるのは、
継続して親密な関係を築いてきたからです。

1-1-4 病気の説明
患者さんや家族に、医学知識をわかりやすく説明します。
できるだけ患者さんの個性や社会背景に
合わせた説明を心がけます。
将来、難解な医学用語で患者さんを煙に巻いて
自己満足する医師にはならないように。

1-1-5 薬の処方と説明
薬の飲み方や使い方をどのように説明しているか。
特に高齢者などが飲み間違えないように、
どのような工夫をしているだろう。

1-1-6 ホームケアの説明
食事は?運動は?仕事は?お風呂は?
患者さんにはそれぞれの家での生活があります。
それぞれにあわせた生活指導で
患者さんをサポートしていきます。

1-1-7 今日の診察が終わりました
どのように診察を締めくくっているでしょうか?
患者さんは満足しているでしょうか?次の予約は?
おっと、話が終わったと思った患者さん、
戻ってきて別の話をはじめたぞ。
そんな時、先生はどうするんだろう?

1-2 診察室のようす  担当:医師 


1-2-1 診察室の機能
診察室の構造、物品の配置、道具、からくりなどは、
院長の経験と工夫の結晶です。
絵画や植物、カレンダーなども診察室の雰囲気を演出しています。
それぞれのものにはその歴史があります。その説明を聞いてみよう。

1-2-2 スタッフとの連携
院長の指揮のもと、スタッフが診察室の内外を
どのように動き回っているか。
どのように意思伝達をしているか。
院長の意図を聞かせてもらいながら、その動きを眺めよう。


1-3 患者さんと話す 担当:医師 


1-3-1 患者さんと話す
診療所に来た患者さんといろいろ話してみよう。
いろいろな人とうまく会話ができるかな?
どんな人が診療所に来ているのかな
?どんな人生を歩んできたのだろう?
患者さんは診療所のことをどう思っているのかな?
そもそも患者ってなんなんだろう?

1-3-2 予診をとってみる
医師の指示のもと、自分で病歴を取ってみましょう。
医者にあまりかかったことがない人もいれば、
いくつも病気をしてきた百戦錬磨?の人もいます。
病気や障害とどうつきあってきたのだろう。うまく取れるかな。


1-4 医の基本を考える  担当:医師 


1-4-1 医師のマナー
服装、身体の清潔、香水、言葉つかい、話す態度など、
医師のマナーについて論じてみよう。
白衣を着る意味は何か考えたことがありますか?
茶髪は許されるか?

1-4-2 家庭医とは?
家庭医とは何だろう?どんな仕事があるのだろう?
その魅力と苦労に耳を傾けよう。
あなたの持っているイメージと、
目の前にいる「家庭医」はどう違うでしょう?
家庭医は「あなたのための専門医」
というのがわかりやすいかな?

1-4-3 患者さんや家族の感想
お礼の手紙、亡くなった方の遺族からの手紙、
闘病の経験談などがあれば見せてもらおう。
どんな患者さんがどのように家庭医と関わったのだろうか?
もしできれば、患者さんから直接「どんな先生か」話してもらおう。
患者さんにとって家庭医は病院の医師とどこが違うのだろう?

1-4-4 よいコミュニケーションとは?
患者さんや家族が話しやすいムードつくりについて
考えてみよう。
患者さんと先生の間の会話はどんな雰囲気だろう?
患者さんとの世間話や、雑談のその意味は?
患者さんと医師の距離の近さとこころの近さは、
病院の医師とどう違うだろう?
なにが信頼感を生んでいるのだろうか?

1-4-5 時間外診療を見る
時間外の患者さんからの連絡は
どのように工夫して受けているだろう。
日中よりもさらに限られた状況で、
どのように対応しているのだろうか?
夜間時間外も切れ目ない医療を提供するのに
どのような工夫をしているだろうか?



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2 診療所にくるということ

2-1 診療所での身体診察 担当:医師 


2-1-1 身体診察を見てみよう
限られた時間の中でどのような身体診察をしているのか、
まずは見てみよう。
どんな患者さんにどんな所見を取っているでしょうか。
身体診察をしない患者さんはどんな人だろう。

2-1-2 身体診察を経験してみよう
わかりやすい身体所見のある患者さんがいたら、
先生の指導のもと、実際に所見を取らせてもらおう。
心音、呼吸音、腹部の診察、皮膚所見、神経学的所見、
耳や鼻の所見など。自分の五感を使って経験してみよう。

2-1-3 慢性疾患で安定期の人の診察をどうするか
「いつもと同じ」、安定している人の診察は
どうしているのだろう。
省くか、定期的に診察するか。所見を取るだけではなく、
コミュニケーションとしての診察もみてみよう。

2-1-4 検診などのスクリーニング診察
病気ではなくて診療所に来た人は
どのように診察しているでしょう。
限られた時間で効率的に診察して、
見落としのないようにパターン化された
一定の診察の流れを見てみましょう。


2-2 診療所で診るということ 担当:医師 


2-2-1 診療所にくる理由
診療所にくる理由はどんなものでしょうか。
病院に来る患者さんとどう違うでしょうか?
なかには病気とは言えないような相談事もみられます。
病院との違いは何か考えてみよう。

2-2-2 「よくある病気」
「よくある病気」とはなんだろう。
地域の住民はさまざまな健康問題を持ちますが、
診療所で特によく相談される症状や病気があります。
そのありふれたものをどう扱っているでしょうか?
同じような症状の患者さんが来たときに、
それぞれどう対応しているか比べてみよう。

2-2-3 診療所ならではの解決方法
診療所での診療の特徴は何だろう。
症状が典型的でない発症してすぐの
超急性期に受診することもあります。
すぐに結論が出ない場合には、
時間をかけて経過を観察するとよいこともあります。
少ない手がかりに、疾病頻度を考えながら、
見落としのないように
幅広い病気も想定しながら診断を進めます。



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3 診察を受けるまえとあと

3-1 診察を受ける前 担当:医師 


3-1-1 待合室の構造・設備
快適性、色彩、効果的な動線、テレビの配置や、
新聞雑誌などの置き場所、
どんな工夫がされているか待合室を見てみましょう。
畳のある場合もあるし、寒冷地では
こたつがあるかもしれません。
どんな表情で患者さんは待っているのでしょう。

3-1-2 バリアフリーとプライバシー
障害のある方の出入りや救急患者の搬入のために、
段差解消や手すりはどのように工夫されているでしょう。
玄関と待合室、待合室と診察室の間はどうなっているでしょう。
患者さんのプライバシーへの配慮は
どのようにされているでしょう。

3-1-3 広報の工夫
診察予定のお知らせや、病気の知識、その他の情報を、
ポスター、ビデオ、ちらしなど、
どのように工夫しているのでしょう。
できあいの物のほか、手製の苦心作があるかも。
最近ではホームページを利用している場合もあります。

3-1-4 診療所まではどうやって?
診療所へのアクセスは?
歩いてくる人、車で来る人、
バスや電車で来る人、タクシーで来る人、
そして救急車で来る人。家族に付き添われるほか、
ヘルパーさんに通院介助してもらう人もいます。
地域を回る送迎バスに乗れたら、
患者さんの意外なホンネが聞けるかも。


3-2 受付事務  担当:事務 


3-2-1 受付の役割
患者さんが来院してから帰るまで、
受付スタッフはどのように声をかけ対応しているでしょうか?
具合の悪そうな人にはどのように対処しているのでしょう。
受付からの視線で観察してみましょう。

3-2-2 おいくらですか
診療費はどのように計算するのか、
保険診療の仕組みを教えてもらいましょう。
1回の診療でどのくらい支払うのか、
検査や薬がどのくらいの値段になるのか、みてみましょう。
医療保険の他にも支払いがある人もいます。

3-2-3 予約診療
電話予約や再診予約のシステムを教えてもらいましょう。
予約制の利点と問題点はなんでしょう。
どんなところに気をつけて予約を調節しているでしょう。
患者さんの感想も聞いてみるとよいです。


3-3 事務員に聞く 担当:事務 


3-3-1 受付からみた診療所
受付から診療所の中をみて、
どんなことを気をつけているのか教えてもらいましょう。
さりげなく病状を聞いたり、具合の悪い人の順番を調整したり、
診察室に入る前に配慮することがあります。
受付の配慮への患者さんの反応はどうでしょう。

3-3-2 医療情報管理
カルテの保存や整理はどのようにしているでしょうか。
受診者数や疾患の変動を調べるなど、データ活用の工夫を見てみましょう。
電子カルテや、他の医療機関との情報共有の工夫もあるかもしれません。

3-3-3 医療費のしくみ
乳幼児医療助成や、高額医療助成、慢性疾患助成、
生活保護、身体障害者手帳など、いろいろな政策を知ってみる。
老人医療の自己負担制度はどうなっているだろう。



4.院内チーム医療へ


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