漂泊の漫画家・冨士宏


午後の国物語
「午後の国物語」
1987年・ラポート社刊(絶版)


 冨士宏氏は僕が中学生の頃から追いかけ続けている漫画家である。氏はまたデザイナーであり、イラストレーターでもあるため、氏個人の著作としての出版物は極めて少ない。

 しかし時折目にするイラストは時には水彩画調、時にはポップ調、またタッチも少女漫画風からデフォルメを効かせた少年漫画調と幅広く(そういう意味では商業イラストレーターと言えるが)、それでいて氏独特の「色」が満遍なく滲み出ている。特に氏の描く子供の躍動感と表情に僕は魅かれてしまうのである。


冨士宏氏とナムコ

 氏はナムコと縁が深い(実は元社員)。「ワルキューレ(の冒険・伝説)」、「スカイキッド」、「バベルの塔」等のイメージキャラデザインやその他スポーツゲーム系のパッケージイラストを手がけられている。氏の漫画を読んだことがない方でもこちらの方で氏の仕事を目にしたことがある方は多いはずだ。
 また現在は休刊中だが、ナムコの広報誌「NG」にて「午後の国(前出の漫画とはまた違うものである)」「迷廊館のチャナ」を連載されていた。これは単行本にこそなってはいないが、プレイステーション用ソフト「ナムコミュージアム」シリーズにて荒い画像ながらも収録されており、現在でも読むことができる。
 現在ナムコは「NG」に替り「NOIRS」という広報誌を発行しているが、「NG」とは全く毛色の異なる本であるため、氏の新作がここで発表される可能性は薄い。


希代の寡作家の仕事

 僕が確認した限りでは、過去に発行された氏の単行本は「午後の国物語」ただひとつだけである。
 また、新声社「コミックゲーメスト」にて「城物語」という西欧時代劇ものを描かれていたはずであるが、単行本が出たという話は聞かない(そもそもコミックゲーメストってまだあるのか?最近本屋で見ないぞ)
 ワルキューレ関係では最近刊行された「ローザの冒険・ファンブック」(アスペクト社刊)に短いコミックとインタビューが収録されている。
 古くまで遡ると、TVアニメ「魔動王グランゾート」のゲストメカデザインを担当されていた。

 情報、求む(^^;)





出口